オプジーボ(ニボルマブ)とはどのような薬か 胃がんに使えるか
義父にオプジーボという薬があるそうだという情報をもらったので調べてみました.
オプジーボ(ニボルマブ)は肺がん、メラノーマ(悪性黒色腫)に対する治療薬として承認されています。胃がんでは現在未承認、治験中の薬です。
オプジーボ(ニボルマブ)の働き
がんには免疫細胞の攻撃を阻止するための仕組みがあります。
T細胞ががん細胞を攻撃しようとしても、T細胞に発現する「PD-1」という物質と、がん細胞に発現する「PD-L1」という物質が結び付くとT細胞は攻撃をやめてしまうのです。
そこで現在、盛んに行われているのが、がんの免疫逃避機構を阻止する薬剤の研究開発で、「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれています。「PD-1/PD-L1経路」に有効とされるのが、「抗PD-1抗体」や「抗PD-L1抗体」です。
この薬剤をがん患者さんに投与すると、がんは自己防衛力を失い、免疫細胞が正常に機能すると言われています。
引用元:
肺がん、メラノーマ(悪性黒色腫)の使用における副作用
患者数7542人 副作用1841例3545件 うち重篤例715例1066件
一人1件ではないかもしれませんが、およその割合としては約50%に副作用発現、約15%が重篤な副作用といった割合です。
こちらのリンクもぜひ目を通してみてください。
重篤な副作用が発生する割合は特別に高いとは言えませんが、もしも重篤な副作用が出た場合にはそれが回復していないケースもあるのは考慮すべきかと思います。
資料配布元ページ:安全性・適正使用情報 | オプジーボ.jp
胃がんの人に対する投与の結果
海外で胃がん患者に対するニボルマブ投与試験が実施され、その結果が公表されていました。その内容をまとめてみます。
患者数 59人 2ndライン以上の抗がん剤治療を受けた患者がほとんど。
副作用
副作用発現 69% 倦怠感(全グレードで32%)、掻痒(17%)、食欲減少(15%)、下痢(15%)
日常生活が送れないレベルのグレード3/4の治療関連副作用は17%で発現したが、死亡例であるグレード5は起きなかった。
奏効率
完全奏功 1人(がんが完全に消える)
部分奏功 7人(がんが半分以下になる)
奏効率14%
30%以上の腫瘍縮小 10人
効果確認 8人
病勢安定 11人(19%)
疾患制御率32%(奏功/進行が止まった患者の割合)
PD-LIの発現率と奏効率の関係
PD-L1の発現が高い患者で奏効率はより高い結果が出たそうです。
「PD-L1」とは、がん細胞から発現している物質で、「PD-1」とはT細胞上にあるPD-L1の受容体。「PD-L1」と「PD-1」が結合しなければ、がん免疫逃避機構が働かないことになる。
引用元:免疫を抑制するがん細胞との闘い | がんと免疫 | 「がん治療」新時代
発現率1%超 15人中4人が奏功(27%)
発現率1%未満 25人中3人が奏功(12%)
発現率5%超 6人中2人が奏功(33%)
発現率5%未満 15人中5人が奏功(15%)
胃がんへのニボルマブ治験実施機関
国立がん研究センター中央病院で治験を実施しているようです(2016年7月現在)
ニボルマブ+化学療法AorBの併用治療(第二相) http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/info/clinical_trial/T4293.html
ニボルマブ単独治療orプラセーボ(第三相) http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/info/clinical_trial/T4133.html
国立がん研究センター中央病院で実施している治験一覧 http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/info/clinical_trial/chiken_index.html