抗がん剤とは何なのかー抗がん剤を始める前・継続に迷っている時に知っておきたいこと
母が抗がん剤をやることになってから、抗がん剤について色々と調べていました。
抗がん剤とは何なのか
手術で取りきれないがん細胞がある、またはありそうだという時には必ず抗がん剤を勧められます。抗がん剤とはどういったものでしょうか。
抗がん剤はがん細胞を叩いて殺すことを目的にした薬ですが、一方で毒でもあります。
共通するクセとしては全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、そして骨髄抑制だ。それらを副作用と呼ぶが、元来、抗がん剤は毒なので、当然いえば当然。全身倦怠感や食欲不振という自覚症状や検査値の変化は、抗がん剤の副作用どころか、主作用と呼んだほうがいいかもしれない。
引用:抗がん剤 10の「やめどき」~あなたの治療、延命ですか? 縮命ですか? (あなたの治療、延命ですか?縮命ですか?)より。太字原文のまま。
抗がん剤の奏効率とは
抗がん剤がどれくらい効果を上げるかということを語る時、大体の場合には奏効率という言葉が使われます。
奏効率とは何なのでしょう?わかりやすい説明を見つけたので引用します。
抗がん剤の効果判定基準 著効(CR) 腫瘍が消失した状態が4週間続く 有効(PR) 腫瘍が50%以上縮小した状態が4週間続く 不変(NC) 腫瘍の縮小率が50%未満~がんの増大率が25%未満 進行(PD) 腫瘍が25%以上増大 ある治療を行った全症例のうち、著効+有効の割合を奏効率といいます。
奏効率と生存率には相関関係はありません。既存の治療よりも奏効率が高い治療法が登場しても、生存期間が延長するかどうかは別問題です。
上記の説明を見るとわかりますが、抗がん剤が効いた=がんが完全に消失したということではないのです。医師の言う抗がん剤が効いたというのは、腫瘍が1ヶ月の間元の大きさの半分以下になっているということです。
では抗がん剤の一般的な奏効率はどのくらいなのでしょうか?
なお抗がん剤の目標奏効率は、わずか20%です。奏効率20%とは、10人中8人は腫瘍の大きさが変わらないか、逆に増大してしまうことを意味します。
※赤字部筆者強調
目標20%というのは抗がん剤全般の話ですが、胃がんに対するTS-1の奏効率で言えば約10%ということが医師からも説明されました。
もちろん、上記引用部の表の一番上にある著効、ものすごくよく効くケースもありまずがその確率は非常に低いのです。
なぜ抗がん剤が効かなくなるのか
ある抗がん剤が運良く効いたとしても、その薬をずっと使い続けるわけにはいきません。
人間の体には薬物耐性というものがあり、どんなに効果がある薬でも同じ薬を使い続けていると、いずれ効果が無くなってしまうのです。全ての薬に薬物耐性があるわけではありませんが、最初は良く効いていた抗がん剤でも効果がなくなるのが一般的です。
※赤字下線部筆者強調
抗がん剤を投与したのに癌細胞が増えた時は、その薬の耐性ができたと判断され、違う薬に切り替えることになります。このサイクルを何度も繰り返すのが、進行がんにおける一般的な抗がん剤治療です。
引用元:耐性により抗がん剤の効果が無くなる理由 | はじめてガン保険
抗がん剤治療はファーストライン、セカンドライン、サードラインと薬を切り替えながら進んでいきますが、がんが全身の各所に転移してしまっている場合は抗がん剤の力でがん細胞を完全に無くすのは不可能です。そのため病院ではあとは延命治療しか無いというのです。
がんとの闘いとはどのようなものなのか
がんとの闘いはテロとの闘いに似ています。
テロリスト集団(=がんの塊)のいるところは検査で見つけることができますが、たくさんの一般の人たちに紛れた一人二人のテロリストを見つけるのはほとんど不可能です。
抗がん剤は空爆のようなもので、テロリスト集団のいるところを爆撃します。うまく当たればテロリストの数を減らすことができます。しかし同時にテロリストの潜んでいる街も爆撃してしまい民間人(=他の正常細胞)にも被害が出ます。
また爆撃がうまく当たるとは限りません。当たったとしても集団のリーダーに当てるのは更に難しくなります。テロリストのリーダー(=がんの親玉)を倒さなければ、リーダーは爆撃から逃げおおせて新たな仲間を作り出し、今度はこちらの爆撃パターンを学習し爆撃を食らわないようになります。
爆撃を繰り返せば街や民間人に被害が広がる一方で、テロリストは怒り狂って反撃に出てきます。テロリストの攻撃と爆撃によって街はぼろぼろになり、最終的には人が誰もいなくなってしまう…。
これが抗がん剤治療を受け続けた身体のイメージです。
がんに勝つことはできないのか?
手術で取りきれないがんがあり、抗がん剤もよくて数ヶ月の延命程度の効果しかないとしたら、がんを完全に消し去ることはできないのでしょうか?
そんなことはありません。
調べてみると世の中には転移していてもがん細胞が縮小・消失してその後再発がない、あるいは身体にがん細胞があったとしてもそれほど大きくならずに何年も元気に過ごしているという人が少なからずいることがわかりました。
がんが広がってもその後がんをおとなしくさせて元気に過ごしている人には以下の様な共通する特徴がありました。
- 抗がん剤だけに頼らない
- 生活習慣や考え方も含めたライフスタイルを変える
- 病院で勧められる三大療法以外にも効果がありそうなものを色々試す
- 前向きに毎日楽しく生きる
- 「これをやったら治る」という信じられる治療法がある
三大療法以外に何をやるかというのは、食事療法はまず必須だと思いますがそれ以外のことに関してはその人がなぜ癌になったのかというのを考えなければならないと思います。
すべての人ががん細胞の種を持っています。検査で見つかるほど大きくなるか個人差はあれど、加齢によりがん細胞は必ず現れてきます。
若くしてがんになった人にはきっとがん細胞が発動しやすくなる原因がきっと何かあったのではないかと思います。
根治するためには単にがん細胞を叩くだけではなく、がん細胞を育ちやすくする環境を変えなければなりません。でなければがん細胞は一度消えても必ずまた再び現れてきます。
抗がん剤は使わないほうがいいのか
抗がん剤についてかなりネガティブに書きましたが、抗がん剤を全く使わないほうがいいかと言われればYesとは言い切れません。抗がん剤がよく効いて腫瘍が小さくなる可能性もあるからです。ただし、使うならば以下のことは念頭に置いて使わなければならないと思います。
- 抗がん剤はずっと使い続けるものではなく必ずいつかはやめるものと考える
- 副作用が強くて体力を落とすようならやめる
- 効果がないなら早いうちにすっぱり諦める
もし抗がん剤を試して効果がなくても諦めて悲観することはないと思います。世の中には三大療法を全く受けなくても完治して人はいます。
がんが完全に消失した人の話も色々読んでいましたが、共通して言えることには当初は抗がん剤や放射線治療をやっていた人も最終的には必ずどこかのタイミングでやめているということです。
これから抗がん剤を受ける人、抗がん剤を受けているけれど効果に疑問があると感じている人に以下の本がおすすめです。私ももっと早いうちに読んでおけばよかったと思いました。
抗がん剤 10の「やめどき」~あなたの治療、延命ですか? 縮命ですか? (あなたの治療、延命ですか?縮命ですか?)
- 作者: 長尾和宏
- 出版社/メーカー: ブックマン社
- 発売日: 2013/09/18
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『抗がん剤10の「やめどき」』は特に抗がん剤を今受けられている方には特に第一章は少々読むのにつらい部分があるかもしれません。この本のストーリーに出てくる人とあなたは同じではありません。あくまで他の人のケースとして感情移入し過ぎないほうがいいと思います。もしどうしても読むのがつらそうであれば後半第二章だけ読んでもいいと思います。
がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと
- 作者: ケリー・ターナー,長田美穂
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『がんが自然に治る生き方』はがん患者とその家族にも希望の持てる内容です。この本の内容は、身体の問題だけでなく心の問題を解決しなければこの病は治らないと思っていた私の考えを確信に変えてくれました。ともすれば宗教的と受け取られるかもしれませんが、治るという確信なしには完治はありえないと思うのです。
先に『抗がん剤10の「やめどき」』、あとから『がんが自然に治る生き方』の読順がおすすめです。
母のがんを治すために良い方法が見つかればと思います。
このブログを訪れて下さったがん患者さんとそれを支える方々にも希望が見つかりますように。