56歳 胃がんと闘う母の記録

胃がんで胃を全摘出した母の闘病記

胃がんのリンパ節転移と抗がん剤TS-1

胃の全摘出手術後、病理検査により癌のリンパ節への転移が認められました。

ステージⅢの後期。肺や肝臓への転移がなかったのだけが少しましというところです。

 

がんのリンパ節転移とは

リンパ節に転移しているということは、確認できたがん細胞はすべて摘出したけれど、がん細胞がリンパ節から全身をめぐるリンパ管を流れてのどこか違うところでまた増殖を始めるかもしれません。

一旦がんを切除した後にまた癌が発生すること、これががんの再発です。元々のがんと別の場所にまたがんができることを転移といいます。胃がんでリンパ節からの転移の場合、次にがんが出来やすいのは乳房、乳がんだそうです。

一度リンパ節にがんができてしまうとと全身のどこにでもがんが発生する可能性があります。こうなると、発生が確認されたら可能な場合は手術で切除、またできたら手術といった具合に最悪の場合がんのモグラ叩きのような状態になります。

 

再発予防のための抗がん剤

これを避けるため、がん細胞の増殖を抑えることを目的とした薬、抗がん剤を投与します。胃がんの患者に投与される抗癌剤で最も一般的なものはTS-1という薬で、母もこれを投与することになりました。他にもシスプラチンなどいくつか別の薬もあり併せて投与するほうが効果的といった記事もよく目にしたのですが、母の場合は理由はよくわからないのですがTS-1しかできないとのことでした。

 

抗がん剤は誰にでも聞くというわけではありません。

約10%の人に効果があると医師に言われたと母が言っていました。薬の解説のサイトでも以下のように記載されていました。

  • 胃がんの術後補助化学療法における有効性を検証する試験もおこなわれています。参加したのは外科的切除が実施された胃がん(StageII/III)の患者さん約1000人です。そして、この薬を飲む人と、経過観察だけの人に分かれ、それぞれの生存期間を調べます。その結果、この薬により死亡リスクが32%ほど低下し、3年生存率はこの薬を使用した人達で80.5%経過観察だけの人達で70.1%でした。手術のあとに この薬を飲んだほうがより長生きできる可能性が高いことが確認できたわけです。

引用元:テガフール,ギメラシル,オテラシル:ティーエスワン

 

抗がん剤は副作用が強いというイメージがありました。10%の人にしか効かないのに強い副作用のある薬を飲むのはどうなのだろうと母も私も手術前は思っていたのですが、がんが思ったより進んでしまっていてリンパ節に転移してしまっている以上、現状打てる最善の手としてやるしかないと母も覚悟を決めたようです。

 

TS-1のサイトを見ると専門的な内容になりますが、臨床成績なども確認できます。

ts-1.taiho.co.jp

 

がんと闘おうとすると、体の仕組み、がんのメカニズム、病院のことや治療法など様々なことを知る必要があります。

病理検査や臨床成績といった言葉も専門的で急に聞いても何のことか想像がつきにくいように思います。私は最近たまたま最近フラジャイルという病理医の漫画を読んでいたのでこの辺のことも割とすぐに想像ができました。漫画だと文章だけよりもわかりやすいのでおすすめです。

フラジャイル、今ドラマでもやってるんですよね。TOKIOの長瀬が主演で。私はドラマの方は見たことありませんが、映像のほうがよければそっちも良いのではないかと思います。

 

TS-1の投与とその後の経過

抗がん剤治療とはどういうものかと思っていたのですが、TS-1は経口投与なので通常の生活をしながら治療を続けられるようです。母が胃の切除手術を行ったのはがん研有明病院ですが、有明は遠いのでTS-1治療は近くの病院に通って行うことになりました。

 

母は幸い食欲不振や吐き気、嘔吐、下痢などの症状は出なかったようですが、白血球の数値が下がりすぎてしまいました。TS-1は通常4週投薬その後2週休薬というのを1クールとしているのですが、母の場合は早いうちに白血球数が下がりすぎてしまったため、2週投薬で1週休薬、その後また投薬再開という風に変更されました。

しかし1週間の休薬期間のあと投薬を再開したらまたすぐ白血球数が減少してしまい、どうするべきか担当医師たちも迷う状況になってしまったようで、また次回有明に行った際にそちらで診断をもらうということになったようです。

 

TS-1投薬治療中の生活の仕方

白血球数が減少するということは、免疫力が低下し風邪などの普段ならば大したことのない病気にも抵抗力が弱まってしまっているということです。風邪やインフルエンザの流行するこの時期ですから、人混みなどは当然避けたいところです。また、体を冷やさないように、特に首周りを冷やさないことを意識しています。

 

元々母は一日のうちに座っている時間は食事の時くらいという非常に活動的な人ですが、たとえ元気であっても少し動いたら少し休むということを心がけ、体力を削り過ぎないように注意して活動しているようです。

 

離れて暮らしている私達家族に現状できることは限られていますが、ストレスは免疫力低下につながるので、電話で愚痴を聞いたりするなどして多少なりともストレスを減らすべく話をしたりしています。何かもう少しできることがあれば良いんですけどね。

 

 


【後日談】

■2016/6/1記

抗がん剤TS-1は母には効果がありませんでした。

これから抗がん剤の投与を検討されている方は以下のエントリをぜひお読みください。 

vs-canser.hatenadiary.jp

 ■2016/9/13記

9月1日に母が亡くなり、闘病の過程を振り返りやはりTS-1はやらない方がよかったと考えています。こちらのエントリもぜひ合わせてお読みください。

vs-canser.hatenadiary.jp